本人の主張を書ける用紙が申立書

前回は、病歴・就労状況等申立書の基本的なところを書きました。再度、確認しておいてください。

病歴・就労状況等申立書の書き方について 

 

今回は、もう少し具体的なことを書いていきましょう。

病歴・就労状況等申立書の書き方は、模範解答のようなものはありません。ひとりひとり異なっているからです。
診断書が最重要であることは誰もが知っていることですが、障害年金を請求する本人から障害の程度に関して何か提出できないのでしょうか。

本人からの主張が書けるのが、病歴・就労状況等申立書になります。ですから、本人がわかってもらいたいことは、不足することなく、書いておきたいものです。

病歴就労

また、記載にあたっては、基本は全国一緒なのですが、都道府県によって細かい決まりが違っていたりすることもあるので、それに従うようにします。

 

なお、病歴・就労状況等申立書は、何度も書き直ししますので、下書きはメモ書きでもいいのですが、草稿のようなものはエクセルやワードを利用して作成することをおすすめします。

 

日本年金機構のページには、PDFとエクセルのものが用意されています。
病歴・就労状況等申立書

また、記載要領もおいてあります。
病歴・就労状況等申立書の記載要領
ただ、この日本年金機構が書いた記載要領だけでは、不十分かもしれませんので、以下にもう少し解説を書いていきましょう。

傷病名の欄

診断書に書かれた傷病名が複数ある場合は、傷病ごとに作成してください。ただ、例えば、今回の障害年金の請求は、糖尿病性腎症による人工透析の場合、いっしょに高脂血症のようなものも書かれているのでしたら、主な傷病名だけで病歴・就労状況等申立書を書いたほうがいいでしょう。なるべく絞れるのでしたら、主な傷病名だけにしておくのです。

 

病名が多ければ多いと障害が重いと認定されるとは限りません。「高血圧もあって、ヒザも悪く」とあそこも悪い、ここも悪いとなんでもかんでも病名を入れ込むよりは可能なら主な傷病名に絞ります。しかし、上記の例で言えば、ほかに網膜症もあって目が不自由だとなると、この場合は糖尿病性腎症のものと、網膜症のものと分けたほうがいいと思います。重要なものであれば、面倒であっても分けて書くようにしてください。

 

発病日の欄

発病日が昭和61年4月以降の場合は年月日まで特定しなくても大丈夫です。初診日が昭和61年3月以前の場合、障害厚生年金には「発病日主義」があるため、年月日のうち、月日まで特定します。

 

おそらくほとんどの方が、昭和61年4月以降だと思いますので、その場合は月日を特定しなくても平成3年5月頃くらいの書き方でも大丈夫です。ここには自覚症状が現れた日を記入しましょう。

 

そのほか、「先天性疾患の場合は、症状を自覚したとき、または検査で異常が発見された日」、「生来性の知的障害(精神遅滞)の場合は出生日」を記入します。

 

初診日

受診状況等証明書に書かれた、初めて診療を受けた日になります。

 

健康診断で病気が発覚することもあるでしょう。以前は、健康診断で異常が発見され療養に関する指示を受けた場合は健診日が初診日として取り扱っていましたが、現在は、原則、初めて治療目的で医療機関を受診した日に変更になりました。ただ、これはあくまでも、原則なので、例外もあり得るということです(個別の事例になるのでここでは省略します)。

 

また、人によっては病院が廃院になっていたなどで「受診状況等証明書が添付できない申立書」を書いている場合、初診日の月日が特定できないこともあるかもしれませんがなるべくこれは特定するようにしてください。医療機関の証明がないのですから、場合によっては自分が決めた初診日について、不服申立て、すなわち、審査請求、再審査請求になるかもしれませんが、初診日の証明になるような証拠となるものをいくつか用意することで初診日を申立てるようにしてください。

 

これは国側が何日であると決めることができないので、医療機関の証明がない以上、こちらが初診日はこの日であると、申立することになります。それを認定する日本年金機構が証拠などをみて、矛盾がないかどうかを判断することになります。ここまでなった場合は、審査請求、再審査請求を見込んで、社会保険労務士に依頼したほうがいい案件といえるでしょう。

 

多くの方が社会保険労務士に依頼するとお金がかかるから、自分でやるといいますが、自分でやってみてうまくいかなかった場合、不支給となってから社労士に依頼すればいいやと軽く考えがちですが、それを挽回するのはかなり困難になります。例えていえば、マイナススタートとなると思ってください。最初から社会保険労務士に依頼していたほうが、たとえ不服申立てになっても、社労士のほうも状況がわかっていますので、やりやすいですし、対策が立てられやすいのです。

 

特に初診日が特定できない場合など、難しい案件ほど早めに、最初の裁定請求のところから依頼してしまったほうがいいです。

 

これは、病気でも同じようなことがいえると思います。早期発見早期治療がいいというように、早めだと対処のしようがあるものが、民間療法をやっていた、自己判断で市販薬によってどうにか対処していたという人は、その後の治療が難しくなるということはご存知の方も多いことでしょう。

話が飛びましたが、初診日の欄は、基本は受診状況等証明書に書かれた日を書くことになります。

 

病歴欄

1から5の欄に、発病から順番に現在までの状況について、期間をあけずに記入します。前回も書きましたが、期間をあけずに、です。もちろん、11月2日に前の病院が終りとなり、次の病院に11月25日から行ったというような同月中の場合は、「受診していない」として別の欄にする必要はありませんが、おおむね1ヶ月以上あいた場合は、別の欄にして、その部分は「受診していない」に丸をつけて、内容を書きます。

 

医療機関に受診している場合は、「受診した」を○で囲んで、「医療機関名」を記入します。医療機関に受診していなかった場合は、「受診していない」を○で囲みます。受診していなかった期間を抜かしがちなので気をつけましょう。

 

もちろん、2箇所以上の医療機関にかかっていて、ダブっている期間があるといった場合は、ダブっている期間で構わないので、その年月日をそれぞれわけて書きます。この場合は、2箇所以上の医療機関にかかりながらも、受診していなかった期間がないかどうかをよく確かめて書いていきます。

 

また医療機関ごとに欄をわけて書きますが、ひとつの欄が5年を超える場合は、その期間を3~5年ごとくらいに区切って記入しましょう。

 

同じ病院であっても、入院と通院期間にわけて書いたほうがわかりやすいです。

 

生まれながらの知的障害の場合は、長くなりますが、小学校入学前(幼稚園や保育園)、小学校低学年、小学校高学年、中学生、高校生に区切って日常生活や学校での状況などを記入します。

先天性疾患の場合も、0歳から20歳までの状況を書きます。

 

受診していた場合は、以前にも書きましたが、通院期間、受診回数、入院期間、治療経過、医師から指示された事項、転医や受診中止の理由、日常生活状況、就労状況などを記入します。精神疾患の場合は、飲んでいる薬で障害の重さがわかる場合もあるので、薬の名前を書き添えることもあります。

 

受診していなかった場合は、自覚症状があったのかどうか、受診していなかった理由やその時の生活状況等を詳しく書きます。

 

裏面の上部(障害認定日頃の状況)

「1.障害認定日頃の状況」の部分は、障害認定日による請求を希望する場合には記入します。事後重症の場合は、記入不要です。その場合、斜線をひいておくと年金事務所の窓口担当者も間違わないですみます(事後重症なのに、ここの部分が書いていないですよ、と言われることもあるので)。

就労状況

就労状況の欄は就労していた場合と、就労していなかった場合とで書く欄が違います。

 

就労していることと、障害年金は関係がありません。しかし、うつ病など精神疾患の場合、どうしてもそれ相応の病状だっただろうと思われがちです。

 

職種の欄には、仕事の内容を具体的に記入します。工事現場で現場監督、Web会社でデザイン、派遣企業でデータ入力業務、会社の経理などです。

 

フルタイムで残業もこなしていたとなるとそれなりの体力、気力があったとみなされがちですが、事実を隠して、働いていませんでしたと、書くのはやめましょう。厚生年金に加入していればデータがありますから、そこからわかることですし、そうでなくても意外とわかるものです。休職していたのなら、下の「就労していなかった場合」に書いておきます。休職中だった場合には、理由を記入します。

 

また、中には一般企業で働いていたが、職場の配慮があった(短時間勤務など)、仕事内容を軽いものにしてもらったなど事情がある場合は、そのことも私の場合は書き添えました。障害があったために、そのような対応を会社がしてくれたわけですから、健康な人とは同じ状況ではなかったことがわかりやすくなります。出勤日数のところにでも「短時間勤務」と書きそえておけばいいでしょう。

 

仕事中や仕事が終わった時の身体の状況も正直に書いておきます。

 

下の「就労していなかった場合」は、「理由をすべて」○で囲むようになっているので、複数に丸をつけてかまいません。

日常生活状況

日常生活状況の欄のなかで、日常生活の制限で番号を選ぶ欄ですが、1の自発的にできるは、私の解釈では健常者と同じ程度と思っています。さまざまな傷病があるのに、同じ基準になっているところが答えるのが難しい点のひとつでしょう。あくまでも自分が「申立すること」なので、本人がどのくらいの不自由さを感じているかで判断してください。

 

これは自己判断になりますから正しい答えがあるわけではありませんが、自分としてはできると思っていても、家族の手助けがあってこそ、ということもあります。その点には注意しておきましょう。あくまでも「申立書」ですから、自分がどう思うのかで申立てします。また、ここは、障害認定日頃の状況ですから、かなり前になってしまっている方はよく思い出してください(請求日の欄のほうは、最近なので書きやすいでしょうが)。

 

その他日常生活に不便に感じていたことの欄は、かなり狭いので、本来はもっと書きたいところですが、ポイントを絞って書きましょう。ここに経済的に困っていることは書かないほうがいいです。といいますか、そのようなことを書くスペースの余裕はないはずです。

 

それよりはこここそが、障害で困っていることが書ける場所であることを忘れないでください。障害年金であって生活保護の申請ではないことも意識しましょう。また、どのように書かなればならないのか、主治医に確認する必要もありません(本人の申立です)。

 

裏面の下部、現在(請求日頃)の状況の欄

障害認定日頃の状況とほぼ同じです。障害認定日頃の状況は、文章が過去形になっていて、請求日のところは、現在形になっていることくらいでしょうか。

 

事後重症請求の場合はもちろん、障害認定日請求を希望する場合で、障害認定日と請求日(年金事務所に書類すべてを受け付けてもらった日)が1年以上離れている場合は、この欄に書きます。すなわち、診断書が2枚あるように、 「1.障害認定日(昭和・平成年月日)頃の状況」「2.現在(請求日頃)の状況」の両方を記入することになります。

 

それ以外は、 「1.障害認定日(昭和・平成年月日)頃の状況」のことを書いた上記を再度みてください。

 

障害者手帳の欄

障害者手帳の交付を受けている、受けていない、申請中の別を書き、障害者手帳を持っている人のみ、交付年月日や等級、障害名が書けるはずです。障害者手帳のコピーが必要と言われる場合もありますので、そのコピーも念のため持っていくといいです。

 

最下部、「上記のとおり相違ないことを申し立てます」の欄

ここの欄の日付の部分は、年金事務所で受け付けをした日にしてほしいと言われることもありますので、あけておいてその場で書くか、前もって書いておいて、訂正になったら訂正印を押せるように認印を持っていきます(書類の訂正がありますので、年金事務所に行く時は認印の持参を忘れずに)。

本人が署名をした場合は、押印は不要なのですが、押してくださいと言われる場合もあるので、それに従います。家族や社労士に書いてもらった場合は、代筆者の欄も忘れずに書いておきます。

まとめ

前回から病歴・就労状況等申立書の書き方について書いてきました。

最後に簡単なまとめを書きます。

・病歴・就労状況等申立書の表面に、「記入する前にお読みください」の欄を読み飛ばさない。
ここに書いてあることを書き漏らさない

・自分の病状をわかってもらうように自分が書くことができる唯一の書類なので、経済的なこと、困窮していることなどを書かずに、病状のことを中心に書く
(年金保険料を払ってきたのにとか、自分に障害年金の認定をしないのは社会保障として間違っているとか、批判的なことを書く場ではないことを認識する)

・わかってもらいたいという意識のあまり読む側が苦労するほど、びっしり書きこむよりは、簡潔に。読む側、相手があることを忘れずに。
反対に、あまりにも分量が少ないのも病状をわかってもらう機会であることや治療経過のこと、入院について、医師からの指示内容など書くべきことを漏らしていないか注意。

・何度も読み直して、病状がどのように進行したか流れがわかるかどうか確認し、診断書に書いてあることと矛盾がないように(自分がかなり病状が重いように書いているのに診断書では軽い病状、もしくは、その反対になっていないかどうか)もし、診断書が自分が思う程度より軽いと感じたら、提出する前に主治医に聞くことも大事。