発病日が大事な場合もあり

昭和61年4月以降に受給権を得た場合には現在の年金制度で障害年金が受給できるかどうか認定されます。そのため、発病日が重要となる場面は限られるでしょう。何より重要なのは、初診日ですから。

 

昭和61年3月以前の厚生年金保険の被保険者だった期間に発病日がある傷病は障害厚生年金の対象になるので、その場合は意味が重くなります。旧法(昭和61年3月以前)について説明する前に、発病日とは何かについて書いておきます。

発病日

一般的に、発病日とは自分で病気であると自覚した時、他から見て診察しても症状が出ているなとわかる時ですね。

 

年金の世界では、発病日の考え方としては、以下のように取り扱われています。

  • 医師の診察を受ける前に本人の自覚症状が現れた場合は、その日が発病日
  • 自覚症状が現れずに医師の診察を受けた場合は、初診日が発病日
  • 慢性疾患(糖尿病、腎不全等)のように、傷病の病歴が引き続いている場合は、最も古い発病日が当該傷病の発病日
  • 過去の傷病が治癒(社会的治癒を含む)し、再発した場合は、再発した日が発病日
  • 健康診断で異常が発見された場合は、異常の程度により健康診断日が発病日
  • 交通事故の場合は、事故が発生した日が発病日
  • じん肺(じん肺結核を含む)については、永年にわたり鉱山等の業務に従事し、粉塵を徐々に吸入した結果発生する業務上の疾病であり、その業務に従事した厚生年金保険の被保険者期間があれば、被保険者期間中の発病とされる
    (なお、確認資料として、労働基準局発行のじん肺管理区分決定通知書およびじん肺健康診断結果証明書の添付が必要)
  • 先天性心疾患、網膜色素変性症等については、通常に勤務し厚生年金保険の被保険者期間中に具体的な症状が出現した場合は、その日が発病日
  • 先天性股関節脱臼については、完全脱臼したままで生育した場合は、厚生年金保険の期間外発病とされるが、それ以外のもので青年期以降になって変形性股関節症が発症した場合は、症状が発症した日が発病日

先天性の場合は、潜在的に発病していたとしても、普通に生活していたり、仕事をしていたりした場合は、症状が自覚された時、あるいは、検査で異常が発見された時をもって発病日とされます。

 

私が聞いたところでは、網膜色素変性症の方は、一般的に遺伝性の病気といわれ、個人差が大きく先天的に生まれた時から症状が出ている人もいれば、40歳になってから初めて症状が出る人もいるそうです(余談ですが、私が現在かかっている難病も中高年以降の年齢から症状が出る人がほとんどです)。

このように、具体的な症状が出るのがかなり後、ということも病気によってはありえます。

旧法では発病日にも注意

昭和61年3月以前の年金を旧法の年金と言うことがあります。昭和61年3月までは旧制度の年金だったのです。

 

昭和61年3月以前に受給権が発生した人は、旧法による障害年金が、昭和61年4月以降に受給権が発生した人は、現在の制度の障害年金が支給されます。

 

受給権とは、障害年金の受給要件をすべて満たしていること場合のことをいいます。加入要件、保険料納付要件、障害状態要件のすべてです。

 

今から旧法の障害年金を請求するのはかなり難しいです。発病日もしくは、初診日の証明をするのが難しいからです。30年以上前のことを証明するのはかなり困難を極めます。

 

また、仮に旧法での障害年金が受給できた場合でも、今の制度とは計算方法や他の年金との選択が違うので注意が必要です。

 

今から手続きをして、旧法の障害年金を受給するようになる人は、加入要件と保険料納付要件を満たしている人で、障害認定日が昭和61年3月以前にあり、かつ、障害認定日に障害状態の要件を満たしていた人です。

 

国民年金と厚生年金保険とで違うことに注意

厚生年金保険法は昭和61年3月31日まで、発病日主義を取っていました。発病日における年金制度は何だったのかを考える必要が出てきます。そのため、現在の説明とは食い違うことがありますので注意が必要です。

 

旧法の障害厚生年金では加入期間が何ヶ月あるかという要件が必要な場合もありますし、基準となる日が、障害認定日だったり、初診日だったり様々です。今から手続きをするために調べる場合はかなり複雑になっているので、慎重に行う必要があります。

 

発病日主義の考え方の例をあげます。

発病日、初診日がともに昭和61年3月以前であって、発病日が厚生年金保険に加入中の期間にあり、初診日が国民年金の期間であっても、旧法の障害厚生年金での請求となります。

 

発病日、初診日がともに昭和61年3月以前であって、発病日が厚生年金保険に加入中の期間にはなく、初診日が厚生年金保険の期間中にある場合は、旧法の障害厚生年金も、新法の障害厚生年金でも請求できません。なぜなら、発病日に厚生年金保険の被保険者ではないからです。ただ、障害基礎年金の請求は可能な場合があるので、可能性を調べたほうがいいでしょう。

 

発病日が昭和61年3月以前にあっても、初診日が昭和61年4月以降の場合は、現行の障害厚生年金の請求となります。

 

旧法での障害年金を請求する場合は、詳しい人を窓口担当にしてもらったり、何度か窓口まで行って人を変えるなどして複数の人で確認してもらうようにしてください。年金にかなり詳しい専門家であっても間違えてしまうほど、かなり複雑です。

 

当時の保険料納付要件を調べ、生年月日や他の公的年金を受給していたかどうかも調べることになります。昭和61年3月以前から障害状態にある人は、当時の法令の定めが適用されるだけでなく、その後に改正された経過措置や救済措置も適用されるので、かなりツギハギだらけになっています。

 

また、社会保険労務士に相談する場合も、旧法による障害年金の請求であると言わないと、説明が現在の制度での要件になってしまいます。そのためせっかくの説明が自分には関係なかったということもありますので注意してください。また、即答できるようなものでもないので、年金事務所などに確認を取りながらすすめることになることも理解する必要があります(現在の制度での手続きよりさらに、年金事務所、社労士、本人の協力が必要ということです)。