健康保険の給付

健康保険と障害年金は、傷病ということで、とても関連があります。

医療保険制度のには、協会けんぽ(全国健康保険協会)、健康保険組合(IT健保など)、共済組合のものの他、国民健康保険があります。これらのほかに、75歳以上の方が入る後期高齢者医療制度があります。

ここでは主に、協会けんぽの例を使って被用者保険としての健康保険を説明したいと思います。

今回は、健康保険の給付(お金がもらえること)を中心に書いていきます。

健康保険給付

健康保険の給付

1、療養の給付(家族療養費)
2、入院時食事療養費
3、入院時生活療養費
4,保険外併用療養費
5,訪問看護療養費(家族訪問看護費)
6、移送費(家族移送費)
7,高額療養費
8,高額介護合算療養費
9,傷病手当金
10,出産育児一時金(家族出産育児一時金)
11,出産手当金
12,埋葬料、埋葬費(家族埋葬料)

これらの給付のうち傷病手当金については以前に書いたので(障害年金と傷病手当金(健康保険))、その他のもののうち、いくつか説明します。

病気やケガをしたときー療養費の給付、家族療養費、入院時食事療養費、入院時生活療養費

本人は、療養の給付、家族は家族療養費になります。
自己負担額は、小学校入学前医療費の2割、小学校入学後70歳未満医療費の3割、70歳以上75歳未満は2割(70歳以上75歳未満の方で、昭和19年4月1日以前生まれの方は1割、ただし、現役並み所得者は3割)
これらの他、自治体独自の補助があります。

入院した時ー入院時食事療養費
療養の給付とあわせて、入院時食事療養費、入院時生活療養費が払われ、自己負担額は1食につき360円(平成30年4月~1食につき 460円)低所得者は減額

入院時生活療養費
療養病床に入院する65歳以上の人が食費(食材料費+調理費)と居住費(高熱水費相当)にかかる費用のうち標準負担額(負担額は所得により異なる)を負担することになります。

保険診療と保険外診療を併用するときー保険外併用療養費

厚生労働大臣が定めた評価療養(高度な医療技術を用いた療養など)または、選定療養(特別室への入院など)を受けた場合、通常の療養と共通する部分は、保険外併用療養費として保険給付されます。
この場合、自己負担に加え、通常の診察との差額(特別料金)を負担します。

通常なら、医療費は、療養の給付+本人の自己負担という構成ですが、保険外併用療養費+自己負担+差額(特別料金として自己負担)となり、自己負担が増えることになります。

在宅で療養するときー訪問看護療養費、家族訪問看護療養費

難病患者など在宅で療養している人が、かかりつけの医師の指示により訪問看護ステーションの訪問看護師から訪問看護サービスを受けた場合、その費用が、訪問看護療養費として現物給付されます。

訪問看護療養費が現物支給(健康保険から事業者に直接支払う)、それに基本利用料(自己負担分)あるということです。

訪問看護の基本利用料は、被保険者、被扶養者ともに3割(小学校入学前2割、70歳以上75歳未満2割)
訪問看護療養費の基本利用料は、高額療養費の対象となります。

自己負担分のほか、交通費・おむつ代などの実費や、特別サービス(営業時間外の対応等)を希望した場合の特別料金を支払うことになります。 指定訪問看護事業者は、基本利用料とその他の料金について区別して記載した領収書を発行することになっています。

 

高額医療費制度-窓口負担が一定額を超えたとき

高額療養費とは、同じ医療機関で、ひとり同一月(1日から月末まで)にかかった医療費の自己負担額が一定の金額(自己負担限度額)を超えたとき、超えた分があとで払い戻される制度です。

70歳未満の方で、事前に医療費が高額になることがわかっている場合には、「限度額適用認定証」を使います(70歳以上の人は、低所得者に該当する場合を除き認定証は不要です)。

限度額適用認定証を提示すれば窓口負担(21,000円以上)は、自己負担限度額までとなります。

家族の医療費について、自己負担額は世帯で合算できます。これを世帯合算といいます。

世帯合算

同一世帯で複数の方が同じ月に病気やけがをして医療機関で受診した場合、または、ひとりが複数の医療機関で受診したり、一つの医療機関で入院と外来で受診した場合、世帯で合算することができます。1ヶ月に21,000円以上の窓口負担がある場合、合算した額が自己負担限度額を超えた場合は、超えた額が払い戻されます。

ただし、これは同じ健康保険制度に家族が入っている必要があります。父が協会けんぽで、子が健康保険組合なら違ってしまいます。

ここで気をつけることは、70歳未満の人で合算できる自己負担額は、21,000円以上のものに限られるということ。70歳以上の人の場合は、自己負担額をすべて合算できます。

計算の仕方は、医療機関ごとに計算することとなり、また、同じ医療機関であっても、医科入院、医科外来、歯科入院、歯科外来にわけて計算します。

調剤薬局で処方薬の費用を支払った場合は、薬局で支払った自己負担額を処方箋を出した医療機関に含めて計算します。

自己負担限度額

標準報酬月額83万円以上 252,600円+(総医療費-842,000円)×1%、多数回該当の場合、140,100円
標準報酬月額53万円~79万円 167,400円+(総医療費-558,000円)×1%、多数回該当の場合、93,000円
標準報酬月額28万円~50万円 80,100円+(総医療費-267,000円)×1%、多数回該当の場合、44,400円
標準報酬月額26万円以下 57,600円、多数回該当の場合、44,400円
低所得者(被保険者が市区町村民税非課税) 35,400円 多数回該当の場合、24,600円

70歳以上75歳未満の自己負担限度額

現役並み所得者(標準報酬月額28万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の人)
外来(個人ごと)44,400円
外来・入院(世帯)80,100円+(医療費-267,000円)×1%、多数該当:44,400円
一般所得者 外来(個人ごと) 12,000円 外来・入院(世帯)44,400円
低所得者 Ⅱ 外来(個人ごと)8,000円 外来・入院(世帯)24,600円
低所得者Ⅰ 外来(個人ごと) 8,000円 外来・入院(世帯) 15,000円
低所得者Ⅱとは、被保険者が市区町村民税の非課税者等である場合
低所得者Ⅰとは、被保険者とその扶養家族全ての方の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がない場合

外来でかかったひとり1ヶ月の窓口負担額を合計し、外来(個人ごと)までの自己負担限度額になります。
入院でかかったひとり1ヶ月の窓口負担額を合計し、外来・入院(世帯)までの自己負担限度額になります。
同一世帯での1ヶ月のすべての窓口負担額を合計し、外来・入院(世帯)の自己負担限度額を超えた時に、超えた分が払い戻されます。

多数該当高額療養費

高額療養費として払い戻しを受けた月数が12ヶ月のうち、すでに3ヶ月以上になった場合は、4ヶ月目(4回目)以降は、多数回該当となり、自己負担限度額がさらに引き下げられます。

70歳以上75歳未満の人の多数該当については、通院の限度額の適用によって高額療養費を受けた回数は考慮しないことになっています。

特定疾患患者の高額療養費制度(健康保険特定疾病療養受療証<)/h5>

以下の疾病に関しては、費用が著しく高額かつ治療が著しく長期に渡るものとして、原則として、高額療養費算定基準額が1万円となります。

人工腎臓を実施している慢性腎不全(人工透析)
血漿分画製剤を投与している血友病
抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群

 

立替え払いをした時ー療養費、家族療養費、移送費、家族移送費

健康保険では現物給付が原則ですが、やむを得ない事情で保険医でない医者にかかったときなど、現物給付を受けることができないときや、治療のために装具(補装具など)が必要になったときなどは、かかった医療費を一時立替えて、あとから療養費(被扶養者の場合は家族療養費)として、払い戻しを受けられます。

 

注意することとしては、療養費は、支払った医療費が全額払い戻されるわけではないということ。健康保険で認めらない費用などは除外されますし、自己負担分は当然払うことになります。

 

その他、移送費、家族移送費として、病気やケガで移動が困難な患者が医師の指示で一時的、緊急的必要があって移送された時、移送にかかった費用が払い戻しになります(最も経済的な経路および方法にて算定された額の範囲内)。

 

死亡したときー埋葬料、埋葬費

業務外の事由により亡くなった場合、本人に生計を維持された埋葬を行う家族に対し、埋葬料として5万円が支給されます。
家族以外の場合、実際に埋葬を行った人に、5万円の範囲内で実際に埋葬に要した費用(実費)が埋葬費として支給されます。
被扶養者である家族が亡くなったときは、被保険者に家族埋葬料として5万円が支給されます。