厚生老齢年金の障害者特例と加給年金はセットで

今回は、障害年金ではなく、老齢年金の話です。

65歳前の年金、特別支給の老齢厚生年金のことになります。現在、特別支給の老齢厚生年金は、報酬比例部分しか出ていない人が多いかと思います。

 

長期加入者(44年以上の加入)や3級以上の障害者については退職していれば、報酬比例部分の受取開始年齢から定額部分も受け取れます。

 

加給年金については定額部分、もしくは、65歳以降の老齢厚生年金の受給時から加算されることになります。覚え方としては、加給年金は定額部分か、65歳以降の本来の老齢厚生年金にくっついている、と覚えるといいです(加給年金の該当者の場合)。

 

障害者特例をもう少し詳しく書きますと、老齢厚生年金の受給権者が厚生年金保険の被保険者でなく、かつ、障害等級1級から3級の障害に相当する場合、「請求」することで定額部分(要件に該当すれば加給年金も)が支給される特例となっています。

 

請求、すなわち、自分が手続きをしないと、もらえません。障害者かどうかわからないからですね。

 

障害年金と同じく、初診日から1年6ヶ月を経過していないといけません(症状固定は除く)。障害年金と同じく、受診状況等証明書の提出を求められる場合もあります。

 

それと、気をつけることとして、請求前(手続き前)1ヶ月以内の診断書が必要であることです。障害年金の場合は、3ヶ月以内ですね。

 

障害者特例を使う場合は診断書の日付に注意です。

ただし、以下の場合は診断書を省略できます。

・障害年金の受給権者である場合
・障害年金と老齢厚生年金の障害者特例を同時に請求する場合(ただし、障害年金の請求に添付する診断書は1ヶ月以内のものになる)

 

老齢厚生年金の障害者特例のまとめ

1,障害厚生年金の1級から3級に該当する障害の程度になったときで、

2,被保険者資格を喪失(退職)しているときに限る

3,請求する

 

厚生年金保険の被保険者ではない人という前提となることに注意です。特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)を受けている人が定額部分の支給開始年齢到達前、もしくは、男性の場合は昭和24年4月2日以後生まれ、女性の場合は昭和29年4月2日以降生まれの人は65歳到達前に、障害等級3級以上になった場合、障害者特例の適用を受けることができます。

 

「請求」により翌月分から報酬比例部分にプラスして定額部分も支払われるということです。

 

なお、障害年金を受給中の場合は、障害者特例の適用を受けられる状態になった時点にさかのぼって請求したものとみなされ、その翌月分以降、報酬比例に加えて定額部分が出ます(ただし、平成26年4月より前には遡及しません)「年金請求書」とは別に「障害者特例請求」の手続きを行う必要があることに注意です。「請求」により、発生するからです。

平成26年4月1日からの改正

平成26年3月までは障害者特例は、請求日(年金事務所で受取した日)の属する月の翌月から適用となっていました。

 

平成26年4月から遡及適用が可能になりました。障害年金3級以上の人は障害年金3級以上であることが確認できる日まで障害者特例が遡及することになったのです(平成26年4月より前には遡及しません)。

 

ケースその1
障害基礎年金をもらっていた人が障害の状態がよくなり3級になりました。障害基礎年金には3級がないので、障害基礎年金は支給停止です。

その後、特別支給の老齢厚生年金をもらえる年齢になりました。障害等級3級ですから、請求をすれば特別支給の老齢厚生年金は定額部分も報酬比例部分も出ます。
それが改正後は、あとから障害者特例の請求をしても、特別支給の老齢厚生年金が出る年齢の日から定額部分と報酬比例部分の両方が出るよう遡及します。

 

特別支給の老齢厚生年金が出る年齢の時に、本当に障害等級3級の障害なのかを確認するため、その年齢の日(特別支給の老齢厚生年金受給権発生日)から3ヶ月以内の診断書は必要です。

 

もし、その場合、その特別支給の老齢厚生年金が出る年齢の日の時点の診断書がないもしくは、提出できない場合、特別支給の老齢厚生年金が出る年齢の日より後の日付だったら、その後の診断書で3級以上と確認が取れた時から、確認ができた日から定額部分も出るようになります。上記の場合よりも定額部分が遅れるのですね。

 

特別支給の老齢厚生年金が出る年齢の日以降であれば診断書の提出が可能な時点の現症日から定額部分もでるようになるということです。

 

ケースその2
特別支給の老齢厚生年金をもらえる年齢から、障害等級3級以上だったので、定額部分も報酬比例部分ももらっていたとします。
しかし、障害の程度が軽くなり、途中で3級より軽くなりました(3級不該当)。その場合は、どうなるのでしょうか。そして、その後また障害が悪化して3級以上になった場合は、どうなるでしょうか。

 

この場合は一度は、定額部分も報酬比例部分ももらっていますが、3級不該当となりますとそこで定額部分が支給停止となり、定額部分は支給されません。

 

再度、障害が悪化して3級以上になったら、なった時まで遡及してそこからまた定額部分と報酬比例部分の両方がでます。障害等級が3級以上になったと確認できる時点まで遡及して定額部分がでるようになります。

 

定額部分に着目すると、定額部分が支給→支給停止→支給となります。定額部分の支給停止解除で、定額部分が支給となります。

 

ケースその3
3級の障害厚生年金をもらっていた人が、途中で障害の程度が軽くなり、3級不該当になりました。その後、特別支給の老齢厚生年金をもらえる年齢の日にも障害等級3級程度の障害の重さではありませんでした(障害等級3級不該当)。その人がその後、障害状態が悪化して3級以上になった場合はどうなるのでしょうか。

 

特別支給の老齢厚生年金をもらえる年齢の日は、3級不該当なので、報酬比例部分しかでません。しかし、障害状態が悪化して3級以上になった日から定額部分と報酬比例部分が両方でるようになります。

 

この場合、障害者特例の請求が遅れても3級以上になった時から、定額部分と報酬比例部分の両方が出るようになります。

平成28年10月の改正

平成28年10月1日より501人以上の会社に勤める短時間労働者(週20時間以上勤務など要件あり)も新たに社会保険適用となり、厚生年金保険の被保険者となりました。

 

今までは適用となっていなかったので、いわば退職と同じ扱いでした。厚生年金保険に加入している人は年金の一部もしくは全部が在職老齢年金として支給停止となる場合があります。

 

ただし、短時間労働者に対する社会保険料の適用拡大に伴い障害者または長期加入者特例に該当する老齢厚生年金を受けている人に対しては、経過措置が設けられました。

 

本来は、厚生年金保険の被保険者でしたら、定額部分が全額支給となるのです。

しかし、引き続き同じ会社で働いている人が社会保険の適用拡大によって平成28年10月1日に被保険者となった場合は、定額部分の支給停止を行わないとする経過措置です。

ただし、この経過措置となるには、届け出が必要です。定額部分の支給停止の解除をしてもらうためです。

障害年金と老齢厚生年金の障害者特例の両方とも可能性がある人は、どちらか多い金額を選択

 

定額部分が受けられますと、加給年金(特別加算)もつくので、障害年金がいいいのか、老齢厚生年金の障害者特例がいいのか、金額を確認する必要があります。世帯として多い金額のほうを選択します。その時は、以前にも書きましたが(参照:障害年金を受給した後も老齢年金のことを考えて)、世帯としての合計金額で考えるようにしましょう。

障害基礎年金と老齢厚生年金を併給する場合の診断書

障害基礎年金の有期固定期間内(人によって1年から5年の期間の別あり)に選択替えを行う場合には診断書の添付は求められません。

永久認定(永久固定)の場合も、診断書なしで選択替えができます。

ただし、20歳前障害による障害基礎年金を選択替えによって受給再開する場合は、所得証明書の添付が必要です(20歳前障害による障害基礎年金は、所得制限あり)。