障害年金の受給要件のポイントである保険料納付要件とは

今までも何度か書きましたが、初診日までの保険料が納付されているかどうかが、障害年金を受給できるか否かの大きなポイントになります。

具体的には年金事務所に行って、保険料納付要件を満たしているかを確認してもらいますが、自分でもある程度知っておくことも大切です。私自身も体験したことがありますが、中には、窓口の人が間違っている時もあるからです(最終的には年金事務所の複数の人が確認しますので、間違いがあったとしてもいずれ発見されますが)。

 

まずは、いわゆる直近1年要件が満たされているかどうか、それがダメな場合は、保険料納付3分の2要件がクリアできているかを確認することです。さらに、初診日が平成3年5月1日より前にある場合は、現在の納付要件とは違って基準月の前月以前の保険料納付を確認することになります(旧法の場合は、さらに複雑になります)。

 

直近1年要件の考え方

直近1年要件の場合は、初診日の属する月の前々月までの1年間に滞納期間がないかどうかです。

 

ここで60歳以上65歳未満で、厚生年金保険など被用者年金制度に加入していない場合、直近1年はどのようにカウントするのかという問題があります。

 

60歳以上で被用者年金に加入していないということは、1,国民年金強制加入ではない日本国内居住者、または、2,国民年金任意加入被保険者のいずれかがあります。

 

1,国民年金強制加入ではない日本国内居住者の場合を考えます。国民年金は20歳から60歳まで加入しますが、62歳に初診日があったら、60歳以降は保険料を納付していないわけですから、直近1年はどうなるのか、どこを見るのかという問題があります。この場合、60歳より前1年間に未納がなければ、いいことになります。

 

2、国民年金任意加入被保険者の場合は、任意加入した期間をみます。60歳以降は公的年金制度に未加入であっても強制加入ではないので、納付義務がありません。初診日の属する月の前々月までの1年間に未納がなければいいのです。任意加入の時期に未納がなければいいのです。

 

保険料納付済期間と保険料免除期間を足す

平成27年10月1日からは被用者年金一元化になりましたので、初診日が共済加入中でも保険料納付要件をみることになります。以前のように、共済加入中なら保険料納付をみなくてもいいということにはならなくなったのです。

さらに、保険料納付済期間と保険料免除期間に含められるか否かについても知っておくといいでしょう。保険料納付要件をみる場合としては、未納、滞納はカウントされませんが、保険料納付済期間と保険料免除期間はカウントされます。

 

保険料納付済期間となるもの

初診日の前月までに納付されている月は保険料納付済期間として参入できます。

厚生年金保険や共済組合期間は、20歳前でも60歳以降の期間でも、そのまま保険料納付済期間になります。

 

第3号被保険者の場合、3号被保険者の期間は保険料納付済期間になりますが、特例納付期間について気をつけます。届出日が初診日の前日以前の期間のみ、保険料納付済期間になります。

 

第3号被保険者から第1号被保険者への切り替えをしなければいけなかったのにそれをしていなかった場合、本来はその期間は「未納」ですが、届出手続きをすれば、その未納期間が「特定期間」となり、老齢年金の受給資格期間に算入できるようになっています(例として、妻が3号被保険者になっていた場合でも、夫が転職で一時期、1号被保険者になったら、その期間、妻は3号被保険者でありません)。障害年金の場合、その届出日がいつなのかによって、障害年金の保険料納付済期間としてみるかどうかがわかれます。これについては、再度、後で書きます。

 

保険料免除期間になるもの

法定免除の期間は、届出日に関係なく、保険料免除期間になります。

 

法定免除ではなく、申請免除の場合は免除の申請が初診日の前日以前の場合は、保険料免除期間として算入できます。

 

半額免除の場合は、半額納付年月日が初診日の前日以前の場合は、保険料免除期間として参入できます。4分の3免除、4分の1免除も同様にして考えます。

 

学生納付特例制度の場合は、申請日が初診日の前日以前の場合は、保険料免除期間として参入できます。

 

その他

脱退手当金の受給対象期間の場合は、被保険者期間に算入できません。具体的には3分の2要件をみる場合の、分子にも分母にも算入しないで確認します。

 

このように、免除の申請を初診日の後から行った、学生納付特例を後から行った、保険料納付を後から行ったという場合は、申請した日付や納付した日付をよく確認しておく必要があります。

 

3号不整合期間と保険料納付要件について

第3号被保険者の場合、今までも届出をすべきなのに知らなかったなどで3号被保険者になっていなかった人などのための各種措置が設けられてきました。

 

今回は、特例納付期間についてです。いわゆる専業主婦(主夫)の年金記録が正しくなっていなかった問題として報道されていたので記憶にある方もいらっしゃるでしょう。

 

会社員や公務員などの第2号被保険者(夫または妻)に扶養されている配偶者(妻または夫で、20歳以上60歳未満の人)は、国民年金の第3号被保険者となりますから、保険料を納付する必要はありません。

しかし、例えば夫が退職したなどしますと、夫は第2号被保険者ではありませんから、妻も第3号被保険者ではなくなります。第2号被保険者に扶養されているからこそ、第3号被保険者になれるのです。そうなりますと妻は国民年金保険料の納付が必要な第1号被保険者となります。その届出は本人(この場合は妻)が行うように義務付けられています。

 

夫が退職したときや、妻自身の年収が増えたときなどは、届出(第3号被保険者から第1号被保険者への切り替えの届出)をして、保険料を納めなくてはならないのです。

 

しかし、その届出が行われなかったため、年金記録状は第3号被保険者のままだったという人がかなりいたことが新聞報道されていました。本来は第1号被保険者だったのに、第3号被保険者のままだったということです。これが「3号不整合記録問題」です。

 

例えば、上記のように夫が会社を定年退職したあと、妻は第1号被保険者になるのに手続きをしなかった、夫が会社を辞めて自営業をはじめたために第1号被保険者となったのに、妻は3号被保険者のままで、第1号被保険者になる手続きをしなかったなどです。その他、妻のパート収入が増えたなどで年収が130万円を超えたことで夫の扶養から外れた場合もそれに該当します。第3号被保険者から第1号被保険者となる届出が必要だったのにしていなかった人の年金記録の問題です。

 

この届出が2年以上遅れた場合、2年より前の期間は保険料を納付することができないため、保険料は未納となります。1号未納期間になりますが、これを「時効消滅不整合期間」と呼びます。不整合期間のうち記録訂正がなされたけれど、保険料徴収が時効消滅してしまった期間になります。

 

それを「特定期間化」することができるように定められた改正法ができました。これは平成25年6月26日に公布された「公的年金制度の健全性及び信頼性の確保のための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」です。同年7月1日に施行されました。

 

これは特定期間該当届を出すことによって、将来にむかって時効消滅した不整合期間を、年金額には反映しないけれども年金の受給資格期間としてはカウントできる期間にすることです。この期間のことを特定期間といいます。時効消滅不整合期間を特定期間にするには、届け出が必要です。

 

平成25年7月1日(法律の施行日)において、時効消滅不整合期間が保険料納付済期間であるものとして障害年金を受給している人については、この不整合期間を保険料納付済期間とみなして、受給権は維持することとする特例があります。

 

新たに生じた障害による初診日の前日において保険料納付済期間と保険料免除期間を足しても保険料納付要件をクリアできない人については、特定期間を足して保険料納付要件の確認をする必要があるため、特定期間該当届を出したどうか、その有無を確認する必要があります。

 

そのため、日本年金機構のサイトにおいては、注意書きが書かれています。
参考:第3号被保険者(専業主婦・主夫)からの手続きが遅れた方へ

手続きをすれば、「未納期間」が「特定期間」となり、「受給資格期間」に算入できるようになりますので、老齢基礎年金だけでなく、万一の時の障害・遺族基礎年金の受給権確保につながります

さらには、このようにも書かれています。

障害・遺族基礎年金の「受給資格期間」については、特例措置がありますので、万一に備えて手続きはお早めにお願いします

 

「手続きをすれば」とか、「手続きはお早めに」と、くどいように書かれているのは、本来、特定期間の手続を行ったことの効果は、「届出した日」付けで発生しますので、初診日以後に特定期間の手続を行った場合、特定期間は障害年金の受給資格期間に含めることができないからです。これが原則です。

 

さらに注意することとして、この特定期間が、「年金額には反映しないが年金の受給資格期間に算入される」こととなるのは、改正法公布日以降(平成25年6月26日以後)に初診日がある場合に限られているので、初診日が公布日より前にあるときは、特定期間が「年金額には反映しないが年金の受給資格期間に算入される」期間とみなされることはない、という点です。

 

それと、上記のとおり、特定期間該当届を出したことの効果は、将来にむかって発生するのが原則ですが、初診日が平成25年6月26日(改正法の公布日)から平成30年3月31日までにある場合で、一定の要件に該当する場合は、特定期間化が初診日の前日まで遡って発生します。

1,初診日後に不整合期間が訂正された人の場合は、初診日が平成25年6月26日から平成30年3月31日までにあること

2,初診日前に不整合期間が訂正された人の場合は、初診日が平成25年6月26日から平成25年9月30日までにあること

 

障害年金・遺族年金の「受給資格期間」の特例措置については、日本年金機構のページに詳しく書いてありますので、該当しそうだと思った人は、よく読んでおきましょう。

日本年金機構のページ→→特例措置|日本年金機構