障害年金の障害状態確認届について

障害年金の更新、という言葉はないのですが、一般には更新と呼ばれているようなので、そのことについて書いてみたいと思います。

一般に言われているのには、「現況届」という意味と、「障害状態確認届」という意味があるようです。

障害が悪化した場合
障害状況確認届と更新

現況届

住基ネットができる前は、年金受給者は障害年金でも、老齢年金でも、遺族年金でも年に1回確認を行っていました。毎年受給者自身の誕生月の末日までに現況届を提出する必要がありました。しかし、今は住民票コードで代用しています。住民票コードの登録があれば、届出が省略できるようになりました。

 

住基ネットで確認ができるようになってからは、ほとんどの人は、それで確認ができるので、現況届を出さなくても済むようになったのです。ただし、加給年金額等の対象者がいる場合、引き続き加給年金額等を受けるには生計維持関係を確認する必要があるため、現況届の提出が不要な人でも「生計維持確認届」の提出が必要です。現況届と同様の送付時期、提出期限となります。

 

障害状態確認届(+診断書)

障害年金の受給者の場合は、障害の程度を確認する必要があるので、定期的に「障害状態確認届」に診断書が付いている届書が日本年金機構から送付されます。

 

障害状態確認届とは、障害の程度を確認し、引き続き障害年金を受給できるかどうかを確認するものです。そもそも、障害年金の認定には、「永久認定」と「有期認定」があります。永久認定は、足の切断のように、障害の程度が変化することがない場合に認定されます。

 

障害の状態の程度が変わる可能性がある場合に有期認定となります。1年毎、3年毎のように有期で認定することです。これは障害の程度が重くなるだけでなく、軽くなることも含まれています。精神疾患など状態が良くなる場合もあるからです。

 

有期認定の場合は、上記の「現況届」の提出が不要な人であっても、1年から5年くらいのスパンで「障害状態確認届」を日本年金機構に提出する必要があります。

 

届書に住所氏名を記入し、診断書は医師に書いてもらってから提出します。レントゲンフイルムが必要な場合は、レントゲンフイルムを添えての提出になります。

 

障害状態確認届(+診断書)は、該当の年の誕生日の月初めに日本年金機構から送られてきます。診断書提出指定日は、誕生月の末日となっています。その時までに日本年金機構に送付します。20歳前障害の場合は、7月31日となります。20歳前障害は、所得制限のこともあるので、このように誕生月の末日ではなく、前年の所得がわかるであろう7月31日になっているものと思われます。

 

なお、余談ですが、20歳前障害の場合、どの人も一律に7月31日までとなっているので、20歳前障害が多い知的障害の診断書を書いているお医者様はかなり集中してしまうとの声を聞くことがあります。また、7月生まれの方も、同じく7月末日なので、その方々の診断書も、となりますので、ますます集中してしまいます。

 

さて、この障害状態確認届ですが、医師に書いてもらうことをなかなかやっていなかったりして、提出期限までに間に合わない場合、一時的に年金の支払いが止まる場合もあるとのことなので、早めに医師に記入の依頼をしておいたほうがいいです。

 

障害が重くなったと、上位の等級に改定される場合は、診断書提出指定日をもって改定され、改定日の月の翌月分から年金額が変わります(上記の通り、20歳前障害の場合は、7月の翌月、すなわち、8月分からです。なお、年金は後払いなので、8月、9月分が10月に支払います)。

 

これが障害が軽くなったとされた場合、すなわち、下位等級への改定や支給停止の場合は、診断書提出指定日から3ヶ月経過日の属する月の翌月から変更となります。例えば、8月生まれの人の場合、8月31日が診断書提出指定日となり、12月分から減額もしくは支給停止となります。

 

障害状態確認届が提出されると審査が行われ、結果は等級変更なしの場合は、ハガキで「次回の診断書の提出についてのお知らせ」が送られます。それに対し、等級が変更になった(支給停止も含む)場合は、「年金決定通知書・支給額変更通知書」が送付されます。

年金決定通知書・支給額変更通知書のサンプル
 

額改定請求(障害が重くなった場合)

上記のような障害状態を定期的に確認することを「厚生労働大臣による診査」といいます(日本年金機構から障害状態確認届と診断書が送付されること)。障害年金の金額は、障害の程度が重くなったときは、年金額が増額され、軽くなったときは年金額が減額されるか、支給停止されることになります。

 

それに対して、年金をもらっている側からの年金額を改定してもらいたいと請求することを、「額改定請求」といいます。増額して金額が変わるので「額改定」ですね。

 

この場合、請求をする日(年金事務所で受け付けてもらった日)以前1ヶ月以内の診断書が必要になります。

 

この時に提出する用紙を額改定請求書といいます(障害年金の請求をした時は、「年金請求書」と書かれていたことを覚えている方もいらっしゃるでしょう)。

 

この額改定請求の日をもって、改定日になります。改定日の属する月の翌月から支給額が変更になります。なお、受給権者からの額改定請求は、増額改定を請求することですから、提出された診断書が、もし現在の等級よりも「低い等級」だと認めれる場合でも、原則として下位等級にはしないものとされています。

 

また、額改定請求は受給権取得日(障害年金を受ける権利が発生した日)または上記のような厚生労働大臣の診査日から起算して1年を経過した日後でないと行うことができないのが原則となっています。これには、厚生労働大臣の診査で等級変更がなかった場合(支給継続の確認)の場合は、この1年制限はないものとなっています。

 

これが平成26年4月1日から取り扱いが変更となりました。精神疾患を除き、1年待たずに額改定請求できる場合も認められる(急激に病状悪化して場合など)ことになりました。

 

1年を待たずに額改定請求を行うことのできる例

眼・聴覚・言語機能の障害
1 両眼の視力の和が0.04以下のもの
2 両眼の視力の和が0.05以上0.08以下のもの
3 8等分した視標のそれぞれの方向につき測定した両眼の視野がそれぞれ5度以内のもの
4両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの、かつ、8等分した視標のそれぞれの方向につき測定した両眼の視野の合計がそれぞれ56度以下のもの
5 両耳の聴力レベルが100デシベル以上のもの
6 両耳の聴力レベルが90デシベル以上のもの
7 喉頭を全て摘出したもの
肢体の障害
8 両上肢の全ての指を欠くもの
9 両下肢を足関節以上で欠くもの
10 両上肢の親指および人差し指または中指を欠くもの
11 一上肢の全ての指を欠くもの
12 両下肢の全ての指を欠くもの
13 一下肢を足関節以上で欠くもの
14 四肢または手指若しくは足指が完全麻痺したもの(脳血管障害または脊髄の器質的な障害によるものについては、当該状態が6月を超えて継続している場合に限る)完全麻痺の範囲が広がった場合も含む
内部障害
15 心臓を移植したものまたは人工心臓(補助人工心臓を含む)を装着したもの
16 心臓再同期医療機器(心不全を治療するための医療機器をいう)を装着したもの
17 人工透析を行うもの(3月を超えて継続して行っている場合に限る)
その他の障害
18 6月を超えて継続して人工肛門を使用し、かつ、人工膀胱(ストーマの処置を行わないものに限る)を使用しているもの
19 人工肛門を使用し、かつ、尿路の変更処置行ったもの(人工肛門を使用した状態および尿路の変更を行った状態が6月を超えて継続している場合に限る)
20人工肛門を使用し、かつ、排尿の機能に障害を残す状態(留置カテ-テルの使用または自己導尿(カテーテルを用いて自ら排尿することをいう)を常に必要とする状態をいう)にあるもの(人工肛門を使用した状態および排尿の機能に障害を残す状態が6月を超えて継続している場合に限る)
21脳死状態(脳幹を含む全脳の機能が不可逆的に停止するに至った状態をいう)または遷延性植物状態(意識障害により昏睡した状態にあることをいい、当該状態が3月を超えて継続している場合に限る)となったもの
22 人工呼吸器を装着したもの(1月を超えて常時装着している場合に限る)

年金を受ける権利を取得した日、または障害の程度の診査を受けた日のどちらか遅い日以降に、上記のような事例に該当した場合に1年待たずにできるようになりました(ただし、旧法での障害年金の受給権者は基準が異なる場合があります)。

 

3級の障害厚生年金を受けている人の注意点

3級の障害厚生年金を受けている人(過去に支給事由が同じ障害基礎年金の受給権者となったことがない、すなわち、過去に1度も2級以上に該当したことがない人)が65歳以上になったときは、上記の額改定請求はできませんので、ご注意ください。これは、事後重症請求が65歳以上の人ができないのと同様の制限になります。

 

「その他障害(3級以下の障害)」が発生した場合の額改定請求

障害等級2級以上の受給権者に「その他障害(3級以下の障害)」が発生した場合で、その他障害を併合することで「1級」に該当する場合は、65歳到達日の前日までに額改定請求をすることができます。ただし、老齢年金の繰り上げ受給をしている人の場合は、この額改定請求はできません。この額改定請求は、「その他障害」の初診日からみて、初診日要件、保険料納付要件を満たす必要があります。

例えば、精神疾患の2級で障害年金を受給していた人が、眼の障害が発生し、視力がそれぞれ0.06以下になった場合、併合して1級になりますが、65歳到達日の前日まで(誕生日の前々日)に額改定請求する必要があります。