障害手当金とは、厚生年金保険にある制度です

今まで書いてきた記事に何度か出てきた言葉、「障害手当金」ですが、今回はこの障害手当金について説明します。

病院内

障害手当金は、まず、一時金ということになります。年金ではありません。一回きりで終わり、というものです。

 

一時金ではなく年金としてですと、障害の程度に該当すれば、長期で受給できますから、合計額としては大きくなります。それに対し、障害手当金は一時的には金額がもらえるので、もらったような気分になりますが、それ以降続けてもらえるというものではありません。

 

その点を考えると、年金額は一見少ないように感じますが、年金で受給したほうがいいですね。だからこそ、3級の障害よりもやや軽い場合に支給されます。

 

厚生年金に加入している間に初診日のある病気・けがが初診日から5年以内に治り、3級の障害よりやや程度の軽い障害が残ったときに支給される一時金です。障害手当金を受ける場合も、保険料納付要件を満たしている必要があります。

 

障害手当金については、厚生年金保険法の55条1項に規定されています。それが、政令に定める障害の状態となっていて、施行令3条の9に「法第 55 条第 1 項に規定する政令で定める程度の障害の状態は、別表第2に定めるとおりとする」と書かれていますので、別表第2をみます。

 

障害手当金に相当する障害状態は厚生年金保険法施行令別表2に規定

別表第二 (第三条の九関係)

一 両眼の視力が〇・六以下に減じたもの
二 一眼の視力が〇・一以下に減じたもの
三 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
四 両眼による視野が二分の一以上欠損したもの又は両眼の視野が一〇度以内のもの
五 両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの
六 一耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することができない程度に減じたもの
七 そしやく又は言語の機能に障害を残すもの
八 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
九 脊柱の機能に障害を残すもの
十 一上肢の三大関節のうち、一関節に著しい機能障害を残すもの
十一 一下肢の三大関節のうち、一関節に著しい機能障害を残すもの
十二 一下肢を三センチメートル以上短縮したもの
十三 長管状骨に著しい転位変形を残すもの
十四 一上肢の二指以上を失つたもの
十五 一上肢のひとさし指を失つたもの
十六 一上肢の三指以上の用を廃したもの
十七 ひとさし指を併せ一上肢の二指の用を廃したもの
十八 一上肢のおや指の用を廃したもの
十九 一下肢の第一趾又は他の四趾以上を失つたもの
二十 一下肢の五趾の用を廃したもの
二十一 前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
二十二 精神又は神経系統に、労働が制限を受けるか、又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

 

(備考)
一 視力の測定は、万国式試視力表によるものとし、屈折異常があるものについては、矯正視力によつて測定する。
二 指を失つたものとは、おや指は指節間関節、その他の指は近位指節間関節以上を失つたものをいう。
三 指の用を廃したものとは、指の末節の半分以上を失い、又は中手指節関節若しくは近位指節間関節(おや指にあつては指節間関節)に著しい運動障害を残すものをいう。
四 趾を失つたものとは、その全部を失つたものをいう。
五 趾の用を廃したものとは、第一趾は末節の半分以上、その他の趾は遠位趾節間関節以上を失つたもの又は中足趾節関節若しくは近位趾節間関節(第一趾にあつては趾節間関節)に著しい運動障害を残すものをいう。

 

なお、備考のところを読んでいただくとわかるように、私も視力はかなり悪いのですが、矯正すれば視力は1.0くらいにはなります。障害手当金に書かれている、これらの視力は矯正視力です。たまに、間違えている人がいますので、念のため。

また、障害手当金は、厚生年金保険の制度なので、国民年金にはありません。

 

障害手当金の支給要件

障害手当金の支給要件は、
1,初診日において厚生年金保険の被保険者であったこと(厚生年金に加入していること、すでに年金受給者となっている人ではないこと)
2,初診日から起算して5年を経過する日までの間に傷病が治ったこと
3,傷病が治った日において政令で定める障害の状態にあること
4、初診日の前日において保険料納付要件を満たしていること

となります。

 

ここで、「傷病が治った」の部分ですが、これは一般に言われている「治った」とは意味が少し違うかもしれません。症状固定と言われるものが「治った」ということです。例えば、足を切断したら、足が生えてきて元の状態に戻るということはありません。一般には、足の切断は治ったとは言えないのでしょうが、障害年金の世界では「治った」になるのです。症状が固定されて、良くも悪くもならない状態だからです。

 

この「傷病が治った場合」についてのことは、障害認定基準にも書かれています。

「傷病が治った場合」とは、器質的欠損もしくは変形、又は機能障害を残している場合は、医学的に傷病が治ったとき、又は、その状態が安定し、長期にわたって、その疾病の固定性が認められ、医療効果が期待し得ない状態に至った場合をいう

 

支給額は

報酬比例部分の年金額✕2です。
もう少し難しく書くと、障害厚生年金の計算式により計算した額✕200/100に相当する金額、となります。
ただし、1,170,200円に満たない時は、最低保証額として1,170,200円(平成28年4月1日現在)になります。

上記のとおり、1回で支給される一時金となります。

 

注意点

老齢、障害、遺族の年金給付の受給権者である場合や、同一支給事由による災害保障(労働基準法、労災等)が受けられる場合、障害手当金は支給されません。

しかし、障害厚生年金の受給権者で、障害厚生年金の1級、2級、3級を受給していたが、65歳前に障害等級3級非該当になりそのまま、3年経過し、そこで障害手当金の支給要件に該当すれば、障害手当金が支給されるという例外があります。例外的に年金給付の受給権者であっても障害手当金が支給される例となります。

 

参考として、障害厚生年金には「失権」というものがあります。受給権が消滅することです。本人が死亡したときと、併合認定によって従前からの障害厚生年金の受給権が消滅することは、わかりやすい例ですが、その他、3級非該当のことがあります。今まで、障害厚生年金の1級、2級、3級だった人が3級に該当しなくなって3年経つか、65歳になるかどちらか遅い方で失権することになっています。

基本は、3級に該当しなくなって3年経ってからのちに65歳に達したら、そこで失権ですが、中には該当しなくなっている3年間の途中で65歳になる人もいます。その場合は、3年を経過した時に失権となります。