不服申立ての流れ

平成28年4月1日より、社会保険審査官及び社会保険審査会法が改正され、施行となりました。これまでのようなギリギリの時間で行うよりも少しだけ、余裕ができたと思います。審査請求の期間、再審査請求の期間が改正となりました。

 

そのほか、社会保険審査官の決定後は、社会保険審査会での決定を経ずに、訴訟へと移行できるようになりました。裁判へと迅速に移ることができるようになったのです。

 

なるべくなら、裁定請求を出して不服がある場合(不支給もしくは等級に不服)は、社会保険労務士に依頼したほうがいいです。一般の方が書籍を読みながら、やってみるのも不可能ではありませんが、どうしても論点を明確にできず、どうして自分は障害年金が受給できないのか(もしくはこの等級なのか)に終始してしまい、審査請求書とは言えない内容になりがちです。さもなくば、社会保険とはこうあるべきと大きく捉えすぎて、自分の主張がぼやけてしまうことになります。

 

論理的に、このような理由で間違っていると社会保険審査官に納得してもらえるような(もしくは社会保険審査官ではなく、社会保険審査会にて)内容にしていく必要があるからです。

 

それには、第三者の目を通したほうがいいのです。

それでなくても、審査請求、再審査請求が認められる可能性は低いのです(だからこそ、最初の年金事務所に提出する裁定請求書のところでしっかりしたものを提出する必要があります)。

 

しかし、最初から依頼されていたわけではなく、不支給決定が来てからとか、等級に不服があって、という場合、社会保険労務士には最初の状況がわかりません。日にちには余裕をもって、依頼するのなら、一日も早くがいいのです(それでも、最初の裁定請求書のところから依頼されているお客様が日付的にも先に依頼しているわけですから、優先になるでしょうから、引き受けてくれる社会保険労務士を探すのにも時間がかかると思われます)。

 

社会保険審査官がいる地方厚生局のページには、「審査請求を行うときは、あらかじめ保険者(障害年金の場合は日本年金機構がメインですが、他にも全国健康保険協会、健康保険組合及び厚生年金基金等)に対して、決定(処分)の内容について、できる限り詳細な説明(根拠となる法律等を含む)を受けるようにしてください」という注意書きが書かれています。

 

参考:
審査請求にあたっての留意事項/関東信越厚生局

そもそも審査請求の対象とならないもの

上記、関東信越厚生局のページを参考にしました。

・全体
決定(処分)の行われていないもの
陳情、要請(要望)に関するもの
不明な点についての回答を求めるもの及び調査を求めるもの
現行の法律や政令・省令等に対する不服
保険者の対応(説明誤り、説明不足を含む)に対する不服
保険者の不作為によるもの

・年金関係
障害給付に係る次回の診断書の提出について(お知らせ)における診断書の提出年月に関すること
障害給付に係る診断書の記載内容に対する不服
障害給付に係る現況届による等級変更がないことに対する不服
国民年金保険料の過誤納における還付に関すること
厚生年金保険及び国民年金の被保険者等に関する記録の訂正請求に係る年金審査課の決定に関すること
物価スライド特例水準に対する不服
老齢年金の年金額と、各期ごとの支払金額の年間合計額との差額に関すること

・健康保険関係
被扶養者の認定及び不認定
第三者行為による事故の求償に関すること
保険給付費(医療費)の返還に関すること
「医療費通知」「傷病手当金の期間満了事前通知」等の文書

と書かれています。

これら以外のこととなりますが、主に、不支給決定が出た、思っていたよりも低い等級だったということでしょうから、以下、そのような場合を念頭において書きたいと思います。

 

審査請求まで

日本年金機構(厚生労働大臣)から処分の通知が来ます
それには、支給処分、不支給処分、却下処分があります。

その処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヶ月以内に
(この期間を過ぎた後になされた審査請求は却下すべきものとなっている)

管轄(地方厚生局)の社会保険審査官に審査請求書を提出
社会保険審査官は処分内容を確認

原処分者の回答は、「処分変更」または、「原処分の通り」

「処分変更」の場合は、審査請求人の主張が認めれることになるので、審査請求は取り下げ
または

「原処分の通り」の場合は、社会保険審査官が審査請求書の内容に対して最終的な決定を行い、「決定書」で通知されます

決定には、「容認決定」と「棄却決定」があります
「容認」は審査請求人の主張を認めるという意味で、「棄却」は審査請求人の主張を認めないという意味


容認の場合と、上記の処分変更は、審査請求人の主張が認められたわけですから、日本年金機構にて、訂正処理が行われます(等級変更や不支給処分を支給処分へ)

 

再審査請求へ

上記の「棄却」の場合、主張を認めないという決定ですから、それに不服があれば、再審査請求を検討します
再審査請求をする場合は、決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2ヶ月以内に

社会保険審査会(厚生労働省)へ再審査請求書を提出

書面審査、公開審査(審査日は前もって通知される)、追加の資料などにより、裁決
公開審査は、本人や代理人(社会保険労務士など)が出ることも可能

容認裁決(主張をみとめる)または、棄却裁決(主張を認めない)

容認裁決の場合、主張が認められたのですから、日本年金機構にて訂正処理が行われます(等級変更や支給処分へ)
棄却裁決の場合、それでも不服である場合は行政事件訴訟になります。
処分取り消しの訴えを裁判所に提起します

 

審査請求を行うか、それとも、再度、裁定請求からやり直すかの考え方

障害認定日請求と事後重症請求では考え方が違います。

障害認定日請求の場合は、その当時の病状が変わることはありませんから、再度出し直しができないので、審査請求を求めることになります。
例えば、3年前の障害認定日の診断書を出したとします。1月20日に年金事務所に提出した診断書が、不支給決定されて6月10日に年金事務所に再度、提出したとしても同じ3年前の障害認定日の診断書を提出です。障害認定日の病状が書かれた過去の時点の診断書が新たに変わることはありえません。そのため、不服ならば、審査請求となります。

 

事後重症請求の場合は、
その1(不支給決定に不服がある場合)
等級不該当で不支給決定がなされた場合、2通りの考え方があります。年金事務所に提出した時の診断書で等級該当(すなわち、不支給処分から支給処分へ)を主張したいのなら、審査請求を検討します。

最初の処分はそれで認めるから、自分が悪化したと思ったところで再度、新しい診断書で裁定請求を行う(この場合、1年経過しないとできないなどの制限はなしなので、数ヶ月でも可能)

 

その2(事後重症請求の等級に不服がある場合)
原則として受給権発生日から1年経過しないと、額改定請求(年金額が変わるので額改定請求)ができないので、審査請求を考えます(または、1年経過後に額改定請求を行う場合もあり)。
私の個人的な印象では、そもそもこれはおかしな処分だと思った場合は、社会保険審査官からは容認というよりも、処分変更となる場合が多いように感じます。

 

社会保険審査官による審査と原処分を行った日本年金機構による処分内容の見直しが両方行われています。それで、請求人が求める処分内容に変更すると言ってくることがあるのです。もちろん、その場合は、文書にて日本年金機構から通知が来ます。

 

このように処分内容変更するとなりますと、審査請求の理由がなくなりますから、審査請求を取り下げます。このような場合、処分変更の連絡とあわせて、社会保険審査官から審査請求を取り下げてもらいたい旨の連絡がきます。その場合は、審査請求取下書を提出します。

 

医学的判断が必要なもの(特に初診日がどこに来るかとか、相当因果関係)については、最終的には認められた場合でも「再審査請求」まで行ってから、ということが多いように感じます。

 

審査請求書を書くにあたって気をつけること

なるべくなら、社会保険労務士に依頼したほうがいいことは、先にも述べました。それでも自分でやらないければならないのでしたら、いくつか気をつけることがあります。まずは、審査請求に関する書籍を買ってみて(できれば審査請求のことだけでなく障害年金に関して複数の書籍を参考に)、それを見ながらやってみてください。

審査請求の趣旨および理由の部分は、別紙に書いてもいいので、簡潔に書くようにします。

長文であればあるほどいいというわけではありません。ポイントを押さえて明確に書いたほうがいいのです。

箇条書きでもいいくらいです。最後は、結論このように考える、と結論づけてください。結論がどうあってほしいのか、わからない、結論が書かれていないことが一般の方ではあるようです。

 

障害等級に対して、不服がある、自分では2級だと思うのに、3級だった、不支給だったという場合は、診断書や病歴・就労申立書から、このように書いてあるので、「障害年金認定基準」と照らし合わせて妥当ではないということを書いていくようにしてください。

主治医などから医師としての意見書があれば、なお、良いでしょう。医学的にみて、どうだということが書かれているのですから、自分の主張に対するかなりの補強材料になるでしょう。

 

初診日が違うとか、相当因果関係で初診日がずれるということで、不支給になったような場合は、自分の病気に関して医学書などから参考文献を探し、このような理由で初診日はこれである、という理由づけをしてください。さらには、主治医の意見書も出せるとなお良いです。

この場合は、かなり医師の助けが必要になります。医学的判断の要素が強いからです。

 

審査請求や再審査請求については、以下のような書籍を参考にしてみてください。

 

>>>障害年金 審査請求・再審査請求事例集

こちらは古いですが

>>>裁決例による社会保険法―国民年金・厚生年金保険・健康保険