審査請求、再審査請求について

以前にも障害年金にかぎらず年金の決定に関して、不服がある場合は審査請求、再審査請求ができることを書きました。ただ、これが行政庁に認められるかどうは別問題です。

 

障害年金診断書

 

日本年金機構のページにも年金の決定に対して不服がある場合のことが書いてあります。

年金の決定に不服があるとき(審査請求)|日本年金機構

年金の決定に不服があるときは、決定があったことを知った日の翌日から起算して3か月以内に文書または口頭で、地方厚生局内に設置された社会保険審査官に審査請求することができます。

その決定に対してさらに不服があるときは、決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2か月以内に社会保険審査会(厚生労働省内)に再審査請求できます。

なお、決定の取消の訴え(行政事件訴訟等)を起こす場合は、原則として、審査請求の決定を経た後でないと提起できません。

よほどのことがない限り、一度役所側が決定したことはなかなか変わることはありません。そのようなつもりで、準備をしていったほうがいいです。平成26年の調査ですが、不服申立てを行った場合の認容率としては、国に対しては8.35%で、地方に対しては4・0%となっています。国の場合、100人のうち、8人程度、ということですね。

 

ただし、本当に納得できない、理解できない事例もありますから、諦めるのは早いです。数多くてがけた社労士なら、中にはおかしい決定がなされていることも知っているはずです。

行政不服審査法についての概略

今回は、行政不服審査制度に関して基礎的なことを書いてみたいと思います。

 

そもそも行政不服審査制度は、日本年金機構や厚労省にかぎらず、行政庁に対して不服の申し立てをすることができる手続きのことを言います。

 

行政過程における事後救済的な制度になります。

この制度があることで、迅速に処理ができる、簡単に手続きが行われるということになっています。ただし、最近は障害年金の不服審査が増えて、遅れ気味、という点はありますが、裁判を起こすことよりは手数料もいらないわけですから、簡易な手続きといえるでしょう。

 

この不服審査をすることで、行政側も適正な運営を心がけるということになっています。どこまでそうなのかはわかりませんが、ある程度緊張持って行ってくださいよ、ということにはなるでしょう。

 

今の行政不服審査法は改正になっていまして、そもそもは昭和37年の法律を改正した平成26年改正と呼ばれています。旧法に比べて利便性をプラスしたといわれています。

 

たしかに審査請求の期間が延長になったり、提出書類の閲覧や写しの交付がなされたりしています。

 

行政不服審査法においては、行政庁の処分、その他公権力の行使に当たる行為を処分といいます。処分には申請に対する処分と不利益処分がありまして、それと不作為(なんらかの行為をしないこと)に対しての不服を申し立てすることになります。だから審査請求の範囲は思ったよりも広いのです。

 

もちろん、適用除外となるものもあります。行政不服審査法よりも慎重な手続きによって不服を処理するものと予定されているものとか、処分の性格から行政不服審査法の手続きによる不服審査を認めることが適当ではないもの(帰化の許可など)、すでに不服申立て機関の判断が示されていて再び争うことは迅速な処理にならないものなどがあります。

 

それと処分について適格性もあります。処分に対して審査請求をすることで法律上の利益があるものが行うことになります。関係ない人がやっても審査請求が増えるだけですからね。不作為に関しては処分の申請をした人になります。

 

現在の行政不服審査法は旧法にあった異議申し立てをなくし、審査請求に一元化されました。審査請求が原則となっていますが、再調査の請求も個別法で定めがあれば認められます。処分を見直すことですから、より簡易な手続きになります。

 

処分を行った行政庁みずからが処分を見直すわけですから、審査庁の負担を軽くすることができますし、迅速な解決にもつながります。いわば、自分で自分のミスにきづくというようなことです。

 

審査請求は処分庁以外の行政庁への不服申立てになります。最上級行政庁が審査庁になります。これは処分についての行政事務に関して、処分庁を指揮監督する権限を持った行政庁が審理や裁決をおこなうことで、より公正に処分を見直すことができるから、とされています。

 

例をあげれば、日本年金機構が行ったことを指揮監督する厚労省がその処分が妥当だったかどうかを公正に見直す、ということです。

 

審査請求に対してさらにもう一段の不服を申し立てることができるのが、再審査請求です。これも個別法で再審査請求ができる旨の定めがあれば行うことができます。審査請求は原則として最上級行政庁に行うものですが、専門性がある第三者機関が裁決を行う場合などに再審査請求が行われます。

 

再審査請求は原処分に対しても、原裁決に対しても争うことは可能となっています。

本人が行うことだけでなく、代理人による不服申立ても可能

審査請求、再審査請求にしてもなかなか一般の人が行うことが難しいかと思いますので、代理人による不服申立てもあります。審査請求は代理人によって行うことが可能となっています。代理人は一切の行為を行うことができるとされていますが、審査請求の「取り下げ」については「特別の委任」が必要となっています。

 

また、行政不服審査法では代理人になることの資格については制限はありませんが、弁護士や弁護士法人ならびに他の法律で定めがある場合以外に報酬を得ること目的に不服申立の代理を行うことは禁止されています。障害年金に関しては、労働、社会保険諸法令に関することとして社会保険労務士がおこなってもいいのですが、報酬を得ることを目的に他人が行ってはいけないということです(その他、税務に関しては税理士、登記や供託に関しては司法書士、特許に関しては弁理士など決まっています)。

 

代理人の資格は書面で証明する必要があります。委任状などですね。審査請求書の正本に添付します。代理人を解任した場合には審査庁に対して書面で解任した旨の届け出が必要になります。

 

審査請求を行った場合には、審査請求の準備として、審査請求人に対して制度の説明が行われます。手続きの説明や日程的にどれくらいかかるのか、代理人による審査請求もできること、それと最初のほうに書いた認容率の低さなども説明することになっています。

 

処分通知書から処分の内容を整理し、不服申立てが可能な場合は、審査庁はどこなのか、不服申立てができる期間などを教示することになっています。その後、主張の整理となります。審理において何をどのように主張していくか情報収集ならびに整理が必要となります。ここが代理人が必要な部分といえるでしょう。

 

処分についての反証を行うための事実関係を知ることや争点となる事項の整理や法令の解釈、裁決例の収集も必要でしょう。その後に、審査請求書の作成となります。このため、期間ぎりぎりになって専門家に依頼しても充分な準備にならないことも考えられるので、不服申立てをするとなったら迅速な行動が必要になります。

 

審査請求期間は処分があったことを知った日の翌日から起算して3ヶ月以内です(再調査の請求の場合は再調査の請求についての決定があったことを知った日の翌日から起算して1ヶ月以内)。

 

ただし、客観的審査請求期間として処分があった日の翌日から起算して1年以内となっています。このため、処分があったことを知らなくても、この期間を超えたら処分の効果が確定されます。

 

念のためですが、審査請求ができる期間ですが、正当な理由があれば審査請求期間後も審査請求可能となっています。ですが、これはかなり限定的です。地震など天災があったというような例です。多忙だったとか、入院していた、海外旅行で日本にいなかったなどでは認められませんので、注意が必要です。

 

審査請求書は原則として書面でしなければなりませんが、口頭による審査も可能となっている手続きが12個あります。口頭による審査請求をする場合は、行政庁による録取、陳述人の押印が必要になります。これは原則としての書面請求がいいでしょう。

 

審査請求書に関しては不十分な記載の場合は、審査庁から補正を命じられます。必須記載事項を書いていなければなりません。審査請求人の氏名、名称、住所などはもちろんですが、処分の内容、処分を知った年月日、審査請求の趣旨及び理由、審査請求の年月日など記載事項が決まっています。審査請求の趣旨及び理由については簡潔に書くことが必要ですし、ある程度「型」のようなものがあります。

 

以上、かなり省略した書き方となりましたが、行政不服審査制度に関しての概略を書きました。